血洗神社
神社仏閣 | |
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血洗神社 | |
所在地 | 岐阜県中津川市阿木字血洗6872-1 |
位置 | N35:25:33.038/E137:30:12.060 (標高835m) |
祭神 | |
交通 | 国道363号線沿い |
目次 |
血洗池跡
血洗神社を国道沿いに 200m ほど下った場所に
現在の血洗池はほぼ完全に埋まってしまい小さな沢と湿地が池の痕跡を残すのみである。この場所に実際に池らしきものがあった事を大正生まれの人から聞いている。
現在の血洗池跡は国道363号の拡張時に整備された。この時に腰掛け岩を現在の位置に移動しているが、これが元々どこにあった岩なのかは分からないテンプレート:情報求む。岩の側面に×印に見える文様は私が見る限り単なる花崗岩のヒビであろう。
風景
由緒書き
血洗池に建てられている由緒書きには以下のように記されている。
以下はこの由緒書きを現代風に書き直したものである。
昔々の神の時代、伊邪那美命 が天照大神 を出産した折に、胞衣 (胎盤やへその緒など) の血を池で洗い流して山に納めた。伊邪那美命はこの腰掛け岩に腰をかけホッと一息、この地を安気野と里と名付けるよう命じた。阿木という名はここから来ている。また血を洗った池は後に血洗池と、胞衣 を納めた山は恵那山 (昔は胞山などと書いた) と呼ばれるようになった。
神話の時代の出来事と、阿木、恵那、血洗の名前の由来について書かれている。ここで恵那山の由来の根拠として挙げているホツマツタヱ、日本名勝地誌 (1896/明治29年)、新撰美濃志 (1931年/昭和6年) には実際に恵那の由来が天照大神の胞衣であると記されている。
当時の血洗池はうっそうとした森の中にあり、深さ 5m、広さ 1 ヘクタール (10,000㎡) ほどの大きな池だったが、山からの土砂の流入によって昭和の時代に埋没してしまった。この血洗池の近くには安産を祈願して現在の血洗神社である安気明神を祀りっている。美濃国明神帳に恵那郡七社の内従四位上安気明神とあるは血洗神社の事である。壬申の乱 (627年 (飛鳥)) には美濃の地を訪れた大海人皇子 (天武天皇) も訪れて戦勝を祈願したと云われている。
濃飛両国通史 (1923年/大正12年) では帳内社安気明神が阿木村にあったと推定しているが、その安気明神が血洗神社の事であるとした根拠はこれだけでは分からない。
壬申の乱で大海人皇子が押さえたのは同じ美濃でも滋賀県の県境、不破の道 (関ヶ原)。阿木から見ると美濃の正反対に位置する。記紀によれば主に東山道・東海道から美濃の兵を集め、遠くは長野からも来たと言われている。東山道は大井-坂下から神坂峠 (恵那山トンネルの真上) を越えるルートである。もし大海人皇子本人が徴兵に回ったのであれば安岐郷の近くを通った事になるが、実際に東山道を駆け抜けたのは伝令使のような人たちであろう。
なお、不破関の徴兵令から援兵到着までの期間が短いことから、美濃地方の多くの地域に大海人皇子の天領や屯倉のようなものが存在していたと考えられている[1]。これは飛鳥池の木簡によれば、壬申の乱から 5 年後の 677年 (白鳳6年/飛鳥) に恵那郡から天武天皇 (大海人皇子) に新嘗祭に使う米が献上されている事からも推測できる。安岐郷の領天神 (両伝寺) にもこの伝令使が来ていたのかもしれない。
国道363号は古くから東山道と三河路をつなぐ重要な道路で中馬街道と呼ばれていた。明治中頃までは馬がやっと通れる程度の道であり、また恵那神社への参道でもあった。国道の拡張工事で血洗神社の敷地を提供したお金で神社の改築と血洗池跡の碑石を建て、天皇在位六十年記念事業とする。
中馬街道としての国道363号は岩村か、せいぜい阿木小学校前の交差点までかと思われる。血洗神社の前を通って中津川に出る道は中馬街道から見ればかなりの裏ルート的な扱いだったのではないだろうか。
血洗神社前を通る国道363号は龍泉寺や恵那神社、恵那山詣の参道でもあった。日本地名大辞典[2]には龍泉寺の馬頭観音堂に馬で参拝したと記述されていることから、江戸時代初期の頃には馬の通れる程の道があったと推測できる。また阿木から中山道の中津川宿へ助郷に向かう道としても使われたと思われる。
- ^ 岐阜の歴史, 松田之利 他, 株式会社 山川出版, 2000, ISBN 4-634-33210-2
- ^ 角川日本地名大辞典 21 岐阜県, 「角川日本地名大辞典」編纂委員会 竹内理三, 1980年(昭和55年), 株式会社角川書店, ISBN 978-4040014906
文献散策
巖邑府誌
1751年 (宝暦元年/江戸中期) に書かれた巖邑府誌の龍泉寺より。
伝承と四方山話
- 血洗神社前の道は龍泉寺を陥れた武田勝頼の軍勢が大野(刀神様)-長楽寺-熊野神社-岩村城とたどる時に通ったと思われる。
- 昭和50年代に行われていた阿木小学校の「根ノ上遠足」では血洗神社前の小川の水を飲料用の「清水」としていた。