阿木の地質
阿木の地層は火成岩である花崗岩類を基盤として、瑞浪層群、瀬戸層群、第四紀層などの堆積岩によって形成されている。これらの地層の違いはおおざっぱに言えば:
- 花崗岩類 → 花崗岩の岩石
- 瑞浪層群 → 泥岩や砂岩 (サバ)
- 瀬戸層群 → 風化した花崗岩
- 第四紀層 → 土砂として堆積した花崗岩の砂利
である。ここでは阿木の地層の分布と成り立ちについて記述する。
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基盤岩の形成
阿木から出土する岩石のほとんどが
およそ 1 億年前、白亜紀の阿木は中央構造線付近の地殻変動の影響で大規模な火山地帯だった。しかし白亜紀も後期に入るとそのマグマがゆっくりと固まって行き、現在の阿木全体の基盤岩である花崗岩が形成された。
地表近くのマグマは冷えるのも早く流紋岩になりやすいのだが、深成岩である花崗岩が形成されたという事から火山の規模が大きくなかなか冷えなかったものと考えられている。花崗岩の分布の広さもそれを裏付けている。
瑞浪層群の形成
詳細は瑞浪層群参照。
瀬戸層群の形成
約700万年前、中新世の後期に入ると断層の活動により瀬戸、多治見、土岐などに局地的に数百m〜数kmほどの小さな盆地がいくつも発生した。その盆地に水が溜まって風化した花崗岩が堆積したことで
鮮新世の 330 万年から 300 万年前になると恵那や中津川でも沈下運動で盆地が発生した。また同時期に中京地域にあった東海湖が多治見付近まで拡大した。これらに堆積した砂礫は
阿木川ダムの地質調査でダムから花無山付近にかけての土岐砂礫層の分布が報告されている。これは恵那・中津川を陥没させた断層運動に伴いこの地域でも陥没地あるいは隆起による堰き止め湖が形成されたものと思われる。
土岐口陶土層、土岐砂礫層は
第四紀層の形成
第四紀層とは地球上に人類が現れた約 200 万年前以降に形成された地層。花崗岩は割れやすく風化して砂になりやすい性質を持っている。阿木の第四紀層は主に山から流れ出した花崗岩の土砂が山際や河川沿いに堆積して形成されている。第四紀層は広岡扇状地をはじめ、大根木から飯沼にかけての山沿いと阿木川沿いに広く分布している。
第四紀層の下には瑞浪層群などが残っているかもしれないが知るには及ばない。
地層と温泉
近年、海からほど遠い東濃の地でありながら恵那峡の地下 1,500m から非常に濃い塩化物泉の温泉を掘り当てたという。また現在は阿木川ダムに沈んでいるが、現在の浮島公園 (小沢峡) 付近に小沢冷泉という塩辛い温泉が出ていたという (明治時代の地図にも記されている)。これらはどちらも瑞浪層群が形成された時代に海水の塩分が地底に貯えられたものと思われる。
断層の近くであれば地下1,000m付近にしみこんだ地下水が地熱によって温められているだろう。また地下に瑞浪層群があるなら恵那峡のような塩化物泉、植物性有機物を含んだ黒湯、あるいは石灰石の溶けたアルカリ泉が出るかもしれない。
阿木で温泉候補として期待できる場所はどこか? ダム湖、あるいは断層の交差する日帰、大根木、槇平といったところではないだろうか。
- ^ urban kubota No.29 東海湖と古琵琶湖/やきもの用粘土
参照
外部リンク
- 岐阜の地学・よもやま話
- 中津川市鉱物博物館 中津川市の地層 ─ 阿木の化石
- 東濃地科学センター モグラ博士の地下研究室 (音量注意)