化石 (阿木)
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この瑞浪層群が分布するのは八屋砥、野田、久須田、両伝寺、藤上などの泥岩・砂岩 (いわゆる[[サバ]]) が出土する場所である。化石の発掘は地表が川などに削られてサバが露頭しているような場所が狙い目となる。 | この瑞浪層群が分布するのは八屋砥、野田、久須田、両伝寺、藤上などの泥岩・砂岩 (いわゆる[[サバ]]) が出土する場所である。化石の発掘は地表が川などに削られてサバが露頭しているような場所が狙い目となる。 | ||
+ | == 阿木塁層 == | ||
阿木塁層に含まれている化石は主に落葉広葉樹の木の葉や木っ端、特に阿木塁層の最下層からは淡水湖ができた時に湖の底に沈んだと思われる樹木が亜炭となって出土する。これらの化石から淡水湖のあった時代は比較的温暖で落葉広葉樹に囲まれていたと考えられる。 | 阿木塁層に含まれている化石は主に落葉広葉樹の木の葉や木っ端、特に阿木塁層の最下層からは淡水湖ができた時に湖の底に沈んだと思われる樹木が亜炭となって出土する。これらの化石から淡水湖のあった時代は比較的温暖で落葉広葉樹に囲まれていたと考えられる。 | ||
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+ | == 遠山塁層 == | ||
遠山塁層からは海と繋がったことで貝類の化石が多く出土する。堆積の初期は遠浅の浜だったと思われる砂岩層からオキシジミやビカリアなどの汽水性の貝が、また泥岩となり完全に海底になってしまう頃にはソデガイなどが出土する (ただ瑞浪から出土するものと比べるとあまり質は良くないようである)。八屋砥で見付かったムラサキインコ (二枚貝) の化石には阿木の名前を取って Septifer Agiensis という学名が付けられている。 | 遠山塁層からは海と繋がったことで貝類の化石が多く出土する。堆積の初期は遠浅の浜だったと思われる砂岩層からオキシジミやビカリアなどの汽水性の貝が、また泥岩となり完全に海底になってしまう頃にはソデガイなどが出土する (ただ瑞浪から出土するものと比べるとあまり質は良くないようである)。八屋砥で見付かったムラサキインコ (二枚貝) の化石には阿木の名前を取って Septifer Agiensis という学名が付けられている。 | ||
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− | | [[File:遠山塁層オキシジミ.png]] || '''オキシジミ''' <span class="s">(Cyclina)</span>: アサリに似た二枚貝。アサリよりも蝶番付近に厚みがある。汽水域や遠浅の砂浜に生息。久保原砂岩層の中から 1〜5cm 程度のものが見付かる。 | + | | [[File:遠山塁層オキシジミ.png]] || <span class="smaller">'''オキシジミ''' <span class="s">(Cyclina)</span>: アサリに似た二枚貝。アサリよりも蝶番付近に厚みがある。汽水域や遠浅の砂浜に生息。久保原砂岩層の中から 1〜5cm 程度のものが見付かる。</span> |
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− | | [[File:遠山塁層ビカリア.png]] || '''ビカリア''' <span class="s">(Vicarya)</span>: キリのような形の巻き貝。汽水域に生息。久保原砂岩層の中からたまに 1mm 程度のものが見付かる。 | + | | [[File:遠山塁層ビカリア.png]] || <span class="smaller">'''ビカリア''' <span class="s">(Vicarya)</span>: キリのような形の巻き貝。汽水域に生息。久保原砂岩層の中からたまに 1mm 程度のものが見付かる。</span> |
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− | | [[File:遠山塁層ソデガイ.png]] || '''ゲンロクソデガイ''' <span class="s">(Saccella)</span>: 左右非対称の二枚貝。牧シルト岩層の中からたまに 1mm 程度のものが見付かる。 | + | | [[File:遠山塁層ソデガイ.png]] || <span class="smaller">'''ゲンロクソデガイ''' <span class="s">(Saccella)</span>: 左右非対称の二枚貝。牧シルト岩層の中からたまに 1mm 程度のものが見付かる。</span> |
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− | + | | [[File:ノジュール01.png]] || <span class="smaller">'''ノジュール''' <span class="s">(Nodule)</span>: 泥岩や砂岩に埋もれた丸くて固い泥岩のような石。正体は砂や木クズ、貝などを核として周囲の石灰分が球状に濃縮・凝固したもの。従って中を割ると高確率で何かが入っている。久須田の川などからピンポン球からソフトボール大のノジュールが見付かる。ちなみに「団塊」はノジュールが語源。</span> | |
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− | + | | [[File:凝灰石01.png]] || <span class="smaller">'''凝灰性泥岩''' <span class="s">(Tuff)</span>:生物ではないが泥岩や砂岩に見られる白い斑点は火山灰の化石。つまりこの層が堆積した時代に周辺地域で活発な火山活動があったことを示している。</span> | |
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泥岩が堆積するのは比較的深めの海底であるため、生息していた貝類が少なく、居ても数ミリ程度であったり死んで流された二枚貝の片方の殻だけだったりとあまり大した化石は出てこない。発掘するなら砂岩が狙い目といえる。ただし海の沖で堆積した泥岩にはサメの歯やクジラの骨などが含まれているかもしれない。 | 泥岩が堆積するのは比較的深めの海底であるため、生息していた貝類が少なく、居ても数ミリ程度であったり死んで流された二枚貝の片方の殻だけだったりとあまり大した化石は出てこない。発掘するなら砂岩が狙い目といえる。ただし海の沖で堆積した泥岩にはサメの歯やクジラの骨などが含まれているかもしれない。 |
2009年6月4日 (木) 17:17時点における版
白亜紀の大規模な火山活動のため阿木やその周辺地域には三葉虫や恐竜のような古生代以前の生物の痕跡は残っていない。その代わりに新第三紀中新世の瑞浪層群からゾウや鹿などの大型ほ乳類のいた時代の化石が非常に多く出土している。
この瑞浪層群が分布するのは八屋砥、野田、久須田、両伝寺、藤上などの泥岩・砂岩 (いわゆるサバ) が出土する場所である。化石の発掘は地表が川などに削られてサバが露頭しているような場所が狙い目となる。
阿木塁層
阿木塁層に含まれている化石は主に落葉広葉樹の木の葉や木っ端、特に阿木塁層の最下層からは淡水湖ができた時に湖の底に沈んだと思われる樹木が亜炭となって出土する。これらの化石から淡水湖のあった時代は比較的温暖で落葉広葉樹に囲まれていたと考えられる。
遠山塁層
遠山塁層からは海と繋がったことで貝類の化石が多く出土する。堆積の初期は遠浅の浜だったと思われる砂岩層からオキシジミやビカリアなどの汽水性の貝が、また泥岩となり完全に海底になってしまう頃にはソデガイなどが出土する (ただ瑞浪から出土するものと比べるとあまり質は良くないようである)。八屋砥で見付かったムラサキインコ (二枚貝) の化石には阿木の名前を取って Septifer Agiensis という学名が付けられている。
泥岩が堆積するのは比較的深めの海底であるため、生息していた貝類が少なく、居ても数ミリ程度であったり死んで流された二枚貝の片方の殻だけだったりとあまり大した化石は出てこない。発掘するなら砂岩が狙い目といえる。ただし海の沖で堆積した泥岩にはサメの歯やクジラの骨などが含まれているかもしれない。
[kaseki_roshutsu.jpg] | [photo/sagan01.jpg] | [kaseki_asari.jpg] |
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瑞浪層群が形成された時代に陸であったと思われる広岡や大根木付近は、後に山から流出した土砂に埋もれているため調べることができない。ただし、これらの地底のどこかには埋没林と呼ばれる古代の立ち木群が残されている可能性が高いと考えている。田んぼの構造改善などで古代の巨木が掘り起こされたというような話はないのだろうか。